シグネチャー銀破綻要因は野放図な経営、審査官も不足=FDIC

[28日 ロイター] – 米連邦預金保険公社(FDIC)は28日、先月経営破綻したシグネチャー銀行の監督・規制を巡る報告書を発表し、破綻の要因はリスク管理をほとんど考慮しない「不十分な経営」と「急速で無制限な事業拡大」の追求が原因だったと指摘した。 63ページに及ぶ報告書でFDICは、経営陣と取締役会が「自身の規模や複雑さ、リスクプロファイルに適した適切なリスク管理の実践と制御を開発・維持」することなく、事業拡大と預金獲得を追求したと指摘。シリコンバレー銀(SVB)と同様、審査官からはシグネチャー銀もコーポレートガバナンスが脆弱で、無保険預金への依存など監督当局が指摘した弱点に経営陣が対処していなかったとの報告がなされていたという。 さらにFDICは、銀行システムの安全性と健全性を維持するという使命に対し、スタッフの陣容が不十分であったことを認めた。シグネチャー銀の監督スタッフには頻繁に欠員が出て入れ替わりが激しく、同銀の拠点があるニューヨーク市の生活費高騰や新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)の影響により人材確保が困難だったとした。 2020年以降、大手銀行監督スタッフのポジションの平均40%が欠員、または派遣社員によって埋められていたという。 報告書は「審査スタッフのリソース不足により、シグネチャー銀に対する審査の適時性と質に影響を与えるという問題を経験した」とし、この問題はより広く重要な障害となっていると記した。