Category: Global issues

Bloody gold, gunfire- Russia and China flicker.

“血塗られたゴールド、スーダンで響く銃撃ーチラつくロシアと中国” “血塗られたゴールド、スーダンで響く銃撃ーチラつくロシアと中国” 時を遡ること1週間前、スーダンに銃声が響き渡りました。スーダン国軍と準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」が首都ハルツーム、中心部の軍司令部付近で衝突したのです。BBC現地記者は爆撃によりライフラインも寸断し、”死が頭によぎる”と伝えます。戦闘で数百人が死亡し、数百万人が電気や水、食料を奪われています。 スーダン情勢の悪化を受けて、日本政府は自衛隊に在留邦人の国外退避に向けて、活動拠点がある周辺国ジブチに自衛隊機を派遣し待機するよう命令を行いました。(防衛省)そして、本日夕方先遣隊5名が出発し、本隊が続きます。スーダンには大使館員や国際協力機構(JICA)職員などおよそ60名の邦人が滞在しているといいます。 権力闘争の歴史 スーダンはアフリカ北東部に位置しており、人口4500万あまりを抱えます。世界最長のナイル川が流れ、国土は日本のおよそ5倍でアフリカの中では3番目に大きな国となります。石油・金・鉄鉱石など天然資源も豊富です。 この豊富な天然資源は歴史的に紛争の引き金になっています。スーダンは長らく軍事政権が続いていました。1980年年代から20年ほどは南北に分かれて内戦が続き、1989年に軍事クーデターで政権を奪取したバシール大統領が長期独裁政権を築きます。同政権下で南北の紛争は国連組織が関与しながら2005年に南北和平合意、2011年には南スーダン共和国の独立を果たす形で幕を下ろしています。しかしながら、2012年には南北国境付近の油田地帯をめぐり衝突もおきています。 永遠に続くものはありません。同政権は2019年には生活必需品の価格上昇を背景にした市民デモを契機に軍が蜂起。クーデターによりバシール大統領は失脚しました。以来、民主化指導者らと軍指導者らが合意に基づき共同統治してきましたが、ハムドク首相が辞任するなど不安定な状態が続いていました。(BBC) 民主化道半ば、新たな権力闘争の火種 軍と民主化勢力の対立が深まります。2021年10月、軍が再びクーデターを起こして実権を握ると、軍トップの統治のもと弾圧が続きました。その後、国連などが仲介に入り、民政移管に向けての協議が進められるも協議の中で軍の再編などを含む内容に強く反発したのが、まさにいま国軍と衝突している準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」でした。 RSFは2003年に勃発したダフール紛争で組織化された民兵組織が母体となっています。バシール政権(当時)が反対派を弾圧するために設立をバックアップし、その後、準軍事組織として軍の傘下に入ります。現在はおよそ10万人が所属しており、スーダン各地に基地を持つなど大きな影響力を持っています。 ところで、RSFの背後にはリビアの強力な民兵組織指導者が、スーダン国軍に対してはエジプト軍がいるといわれています。エジプトは過去にリビア政権に対する批判的な姿勢をみせていました。(AFP)スーダン国内だけにとどまらず、隣国が関与する場合に戦闘が激化する可能性もあります。(WSJ) CNNは外交筋よりロシア民間軍事会社ワグネルがRFSにミサイルを供与している証拠を見つけたといいます。今後停戦を仲介するとされる米国や国連などの動きにも影響がでることが懸念されます。 チラつくロシアと中国 ワグネルとRFSのつながりは、ウクライナ侵攻にもつながりがあるといわれています。昨年スーダンからロシアに金が密輸されています。確認されているだけで16件あり、うち1件での密輸料はおよそ1トンでした。ウクライナ侵攻の資金源とも見られています。(CNN) さらに、かねてよりロシアは紅海に面したスーダンの港にロシア海軍の補給基地を建設することを計画していました。(日経)内紛によるリーダーの度重なる変更で現在その計画は進んでいないと考えられますが、今回の内紛の結果いかんではスーダンとロシアが接近する可能性もあります。 また、スーダンにおいては中国は金鉱山プロジェクトを進めるモロッコ企業の株式取得などの動きがあります。(ジェトロ)中国は「一帯一路」構想の中でアフリカ各国にとって最大の貿易国です。プロジェクトファイナンスによるインフラ建設投資、技術移転にも積極的に取り組みを進めています。 スーダン一国の内紛が、隣国エジプト・リビアのアフリカ情勢、そして中米露が絡む世界情勢につながっていきます。経済規模としてはまだまだ小さいですが、豊富な天然資源を背景に波紋が広がりそうです。日本は2023年から国連非常任理事国になりました。ウクライナとロシアの問題、スーダンの問題と国際問題が顕在化している中でどのように存在感を発揮できるでしょうか。各国首脳陣が日本の「常任理事国入り」について支持表明する中で大事な局面になりそうです。